家族やペットの死を、優しく癒すグリーフケア絵本3冊

グリーフケア 絵本 お勧め おすすめ

グリーフケアに絵本がお勧めの理由

近親者やペットを亡くされた方は、強い悲しみを感じ、疑問や後悔などの負の感情に苛まれ、苦しまれる方は多いでしょう。

私も、いとこが若くして亡くなった時、愛犬が亡くなった時、自分自身の心に閉じこもり、運命を問いかけ、深い悲しみに沈んでいました。その負の感情から、なかなか抜け出すことができずにいました。

死をテーマにしたグリーフケアの書籍も読み、心を整理し、落ち着かせる手助けをしてくれましたが、私の場合は、特に絵本が悲しみから救い、心を癒してくれました。

説明文ではない絵本の優しい書体と挿絵によって、メッセージがよりスッと心に入っていきます。

言葉が少ないだけに、共感、そして癒される言葉が凝縮されています。

逆に、言葉が少ないので、自分なりの解釈を付け加えるスペースがあり、絵本を読んだ後にも癒しの余韻が残ります

悲しみは繰り返し、ふとした瞬間に蘇ることが度々あります。そんな時にも、絵本は手軽に、繰り返し手に取ることができ、不安な心を脱ぎ去り、心に安らぎをもたらしてくれます。

グリーフケアのプレゼントに

近くの友人やご家族に、深い悲しみを負った方にも、絵本のプレゼントはお勧めです。

書籍は、著者の思考や書体への好みが影響しがちです。他の人には良書としてグリーフケアの助けになっても、好みが違かったために、逆にイライラしてケアにならないケースも。従って、書籍の場合、プレゼントとして喜ばれるか、リスクが高いです。

その点、絵本はマイルドに語りかけます。押し付けがましくなく、先述の通り、読者が自分なりの解釈を付け加えるスペースがあります。

書籍の場合は、著者の断定を元に解説が進むのですが、絵本の場合は、読む方次第で、いくらでも解釈ができる点が、逆に癒しになると思っています。

大人の方にも、あえて絵本をお勧めしたいのですが、特に小さいお子さんへのグリーフケアとしても最適です。

大人の言葉で語りかけても、なかなかわかりづらいことが、登場人物と同じような少年や少女に感情移入することで、死を理解しやすくなります。

また、大人が気がつかない、子供の気持ちを、本の登場人物が代弁してくれるのです。

そっと寄り添うグリーフケアのお手伝いに、絵本のプレゼントがお勧めです。

なんて声をかけて良いかわからない時、そっと絵本をプレゼントしてみては?

グリーフケアお勧め絵本3冊

死をテーマにした絵本は、それなりに数があります。有名なところでは「100万回生きたねこ 」などが挙げられるでしょう。

リストにしようと思えばそれなりの数が上がりますが、ここでは「グリーフケア」に注目した良絵本だけを紹介したいと思います。

リストではなく、本当に良いと思える本だけを3冊紹介します。私のお勧めでありますが、アマゾンでのレビューも確認し、みなさんから支持されていることも確認済みです。

おかあさん どこいったの?

レベッカ コッブ作

おかあさん どこいったの?」 (ポプラせかいの絵本)

「ねえ、おかあさんはいつ帰ってくるの?」

突然の母の死に、理解が追いつかない少年。

残された家族と一緒に、泣いたり笑いながら、少しずつ母の死を理解していきます。

悲しみながらも、大切な人の死を少しづつ受け入れ、向き合っていく。向き合うことで、人生を少しづつ前進させていってくれるグリーフケアに沿った絵本です。

現在、4歳の男の子の母である私は、自分がいたずらばかりしていたからいなくなったのかと思う姿にジーンと切なくなってしまいました。

登場人物に感情移入してしまい、切なく悲しく、涙が溢れてしまいました。

子供にとっては、親が亡くなるなんて想像もできなく、辛く感じるシーンもあるかもしれませんが、普通の家族であることがありがたく感じる。そんな情緒教育にも貢献してくれる絵本ではないでしょうか?

作者であるレベッカ・コップはイギリス在住の絵本作家兼イラストレーターです。『Lunchtime』という絵本で2013年にウォーターストーン児童図書館賞も受賞しています。

日本語訳は絵本作家、漫画家としても有名な「おーなり由子」さんである点も、注目です。

子供だけではなく、近い人の死を、どこか受けいることができない大人の方のグリーフケアにも最適な一冊です。

いつでも会える

菊田まりこ作 「いつでも会える

ぼくはイヌのシロ。ミキちゃんが大好き。でもある日とつぜんミキちゃんがいなくなった。どこ? どこ? どこ?

<本書より一部抜粋>

最後に紹介するのは、人間の死を愛犬から見つめた物語です。

大好きな飼い主のみきちゃんを突然亡くした犬のシロの心の移ろいが淡々と描かれた、優しい語り口の絵本です。

小さく無邪気なシロが、大きな悲しみを懸命に乗り越えようとする姿が、胸を打つ感動の物語です。

ペットの視点から書かれていますが、ペットを飼っている方向けという訳ではなく、家族の死を受け止める本として、子供から大人まで高評な一冊です。

祖父母の死を受け止められないお子さんへの読み聞かせ用としても、高評価で、最初は号泣して、死を受け入れることができなかったお子さんが、日に立つうちに落ち着いてきたというレビューもありました。

また、大人になってから、両親などの家族をなくした方の癒しにもなっているようです。

優しい語り口に、優しく癒され、何度も繰り返し読みたい一冊です。

累計110万部突破のミリオンセラーであり、アマゾンでも200件以上のレビューに対し、星5つ中4以上の高評価の一冊でもあります。

ずーっと、ずっとだいすきだよ

ハンス・ウィルヘルム「ずーっと ずっと だいすきだよ

エルフィーとぼくは、いっしょに大きくなった。年月がたって、ぼくの背がのびる一方で、愛するエルフィーはふとって動作もにぶくなっていった。ある朝、目がさめると、エルフィーが死んでいた。深い悲しみにくれながらも、ぼくには、ひとつ、なぐさめが、あった。それは…
<本書より一部抜粋>

同じく、ペットと人間のストーリーですが、「いつでも会える 」が飼い主の女の子が天に召したのに対して、ペットが天に召したお話です。

ペットロスのグリーフケアとしても高評価な一冊ですが、家族や近しい人を亡くした子供や大人のグリーフケアとしても、優しく癒してくれます。

ペットや家族を亡くした方へのグリーフケアだけではなく、命を大切に思う気持ちが育まれるので、子供たちへの読み聞かせ作品としても、大いに推薦したい一冊。何度も読み返しても、良いお話です。

自分で思っているだけではなく、愛はきちんと言葉や態度で伝えないと、相手に伝わりづらい。きちんと伝えることの大切さを教えてくれます。

愛している家族やペットに、その愛をきちんと伝えていますか?

子供には意識的に伝えていましたが、この本を読んだ後は、夫や両親にも、きちんと態度や言葉で感謝と愛を伝えるように心がけています。時に、照れくさいのですが、逆に、夫や両親に、感謝の気持ちなどを言葉で伝えられると、やっぱり嬉しいですよね。

私は、子供の情緖教育用に購入しましたが、繊細な気持ちを大切にする大人の方へのプレゼントとしても最適だと思っています。児童書ではありますが、大人の心にも、じわーっと染み込む作品です。

いつもそばに置いて、何度も読みたい、優しい気持ちにしてくれる1冊です。

目的・好み別、お勧め

子供への読み聞かせには

情緒教育を目指した、子供への読み聞かせとしては、「ずーっと ずっと だいすきだよ 」を特にお勧めしたいと思います。

国語の教科書にも使用されているそうで、ストーリーや登場人物への共感や洞察だけではなく、文章としてもリズムが良く、何度も読んであげたい、そして子供が読みたがる1冊です。

ペットを亡くした方へ

ペットを亡くされた方なら、設定がペットが亡くなったお話である「ずーっと ずっと だいすきだよ 」が特に、ご自身の状況と重ねやすく、お勧めです。

肉親を亡くした方へ

肉親をなくした方には、母を亡くした男の子のストーリー設定である「おかあさん どこいったの?」が、お勧めです。

ここで紹介した3冊は、いずれも、近親者を亡くした方へのグリーフケアになりますし、実際にアマゾンでのレビューでも、その声が高いです。

ただし、「おかあさん どこいったの?」以外の2冊は、ペットと人間の関係が設定となっています。そういった意味で、この本の設定は、母と息子なので、親近感を感じやすい方も多いでしょう。

逆に、あまりにもご自身の状況と同じような設定に対して、それが辛いという場合は、他の2冊から選ばれるのが良いでしょう。

ポップな絵柄が好きな方へ

いつでも会える 」は、他の2作品に比べると、絵柄はポップで、文体も少し異なります。視点が、飼い主を亡くしたペットというのも、一味違って良いですね。

グリーフケアではなく、単純に良い作品が読みたい時

どの絵本も、良い作品なのですが、グリーフケアと離れても、心が洗われるような気持ちになる「ずーっと ずっと だいすきだよ 」がお勧めです。

好きな人や大切な人と一緒に過ごしている今を、大切にしようという気持ちが高まります。

個人的に、3冊の中で一番、何度も、何度も読み返したいと思うのが、この作品です。

まとめ

ここで紹介した絵本は、大切な家族の一員をなくした時の「なぜ?」という純粋な気持ちや混乱を、優しい言葉と絵で癒してくれます。

死をテーマとしたグリーフケアに関する書籍もたくさんありますが、文字が詰まった本は論理やテクニックで死を理解しようとするのに役立ちますが、絵本は心の内側から、悲しみから癒してくれます。

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